最近見たアニメ 「ボージャック・ホースマン」 [アニメ]
ボージャック・ホースマン
Netflix公式
https://www.netflix.com/jp/title/70300800
2014年から続く作品なんで実に今更なんですが。
いや参った。ふとしたきっかけで見始めて数週間で全5シーズン見てしまった。早く次のシーズンが見たい。
原作・制作のラファエル・ボブ=ワクスバーグは天才。この作品も人物もろくに認知されておらずWikipediaの項目すら立っていない日本の状況はクソ。
以上、言いたいことは言ったのでこのブログを閉じとっとと見て欲しい。
それじゃなんなので感想とか書きます。
きっかけっていうのはたまたま観た映画「パペット大騒査線 追憶の紫影(パープル・シャドー)』
http://puppet-movie.jp
のパンフで好意的に紹介されていたので。
Netflix加入中はいいけど、話題作を2、3見た後はずっとモンティ・パイソン見てたので(DVD持っているのに)、ちょうどア今どきのメリカンコメディシリーズも見たいなと思っていたのだった。
「パペット大騒査線」はクソ映画なんですけど、ジム・ヘンソンの息子が多分狙って作ったクソ映画。同じパペットもの「ミート・ザ・フィーブルズ」と違って人間とパペットが共存している世界を描いているので、グリーンシートかぶった人間が数人がかりでパペットを操作しつつ、後からCGで消すという恐ろしく手間のかかった作り方をしています(EDで撮影風景が流れる)。
ボージャック・ホースマンの世界も同じように特に説明もなく人間と擬人化された動物が共存しています。
昨年のマンガ賞を総ナメにした週刊チャンピオンの「BEASTARS」は擬人化動物だけの世界。
杉井版「銀河鉄道の夜」に近い。
人間ちょっとしか出てこないけど。
直接喋らないがスヌーピーも近いかも。
とにかく擬人化した動物でしか描けない人間のあり方というのがある、というのはこれらの作品からもわかると思います。
「BEASTARS」ではウマのヤフヤさんが最上級の獣、ビースターとして登場しますが、今作のボージャックさんは対極のようなクズ。
90年代に流行ったテレビのシットコムの主演として一世を風靡をしたのだが、50歳になった今はほぼ何もしていない。ハリウッドの丘の上、プール付きの豪邸に住んでいるが家族はなく今の同居人は居候の若者トッド。
潰れかけの出版社が芸能人の知名度で一発逆転を当て込んで自伝の執筆を依頼しているが全く書けない。そもそも幼少期には碌な記憶がなくそれは一応成功して豪邸に住む今も克服できない。すぐに酒と女とドラッグに逃げてしまう。
業を煮やした出版社は若い女性のゴーストライターをあてがい、どうにかこうにか本は完成、赤裸々な内容は好評を博し、子供の頃のヒーローだった競走馬、セクレタリアトの伝記映画の主演を射止める。ここまでシーズン1
映画セクレタリアトの撮影は混迷を極め、ボージャックは何度も現場から逃げる。挙句に数ヶ月旧友の元に身を寄せアクシデントを引き起こして帰ってくるが、不在中に映画は完成していた。ここまでシーズン2。
完成した映画は好評。ボージャックは主演男優としてアカデミー賞まで狙えるかもということであの手この手で奮闘するが…。ここまでシーズン3。
ボージャックの元にボージャックの娘かもしれないという17歳の女の子が訪れる。身に覚えがありすぎるボージャックは一緒に母親を探し自分の過去にも向き合う。旧知のエージェントの頼みでネット配信ドラマ「フィルバート」の主役になる。ここまでシーズン4。
不満ながらも「フィルバート」の撮影をこなすボージャック。作品はまたも好評でシーズン2の撮影が始まる。しかしボージャックは自分の過去に苛まれスタントでのケガの鎮痛剤と言いながらクスリにますます依存。一方、トッドが無性愛者の友人のために作ったセックすロボットが「フィルバート」を配信している「今何時ドットコム」のCEOにまで登りつめとんでもないことに。ここまでシーズン5。
これはあくまでボージャックの動きを追ったもので、他のメインキャラクターにも様々なドラマがあります。ライターのダイアンはベトナム移民。夫のピーナツバターはラブラドール・レトリバーでボージャックと正反対の陽気な芸能人。エージェントでマネージャーで元カノのプリンセス・キャロラインは実に頼もしいキャリアウーマン。そして居候のトッドは不思議な魅力で周囲をかき回す。
セックス、ドラッグ、結婚、妊娠、中絶、流産、養子、移民、セクハラ、仕事、独立、アセクシャル、等々、おそらく今のアメリカで映画の題材になりそうなテーマはほぼ網羅されて突っ込まれています。視聴後にどんよりと沈む話も多いのですが笑いを取るところはしっかり笑わせてそのバランスが素晴らしい。
結局、人間金と名誉があっても幸せとは限らない。じゃあなんだ、家族? 更なる成功? 過去の清算? とにかくもがきながら進むしかないのだ。
アニメーションとしてはいたってシンプル。Flashかなあ? 派手な効果など一切無し。カメラはほとんど動かずズームすら稀。キャラもパーツごとに動くだけだったり。アオリも俯瞰も滅多に無い。表情も数パターンの使い回しのようですが、それでもかえってきつい状況の心情は伝わるもんです。
画面全体にピントの合った背景やモブの書き込みは凄まじく、看板やメモ書きのネタももっと吟味したいところ。
シーズンに1回くらいかなり実験的な回もあります。ほぼサイレントとか、弔辞読むだけとか。あとドラッグでラリラリになる描写はどうしたも笑ってしまうのだが笑ってる場合でもない。
日本で受けてない一因かも知れないけれど、日本のカルチャーの影響はほぼ見当たりません。その代わりテレビドラマを中心としたアメリカのネタはてんこ盛りで、あんまり分からないのでしばし停止してググったりしました。とりあえずマシュー・ペリーと言ったら黒船じゃなく「フレンズ」の役者。覚えた。
現代絵画のパロディもたくさん出てくるのですが、その辺含めこちらの本で解説されてます。
ああ、これあんまり日本じゃ紹介されないのはドラッグネタきついからかも。
「クッキング・ハイ マリファナ料理対決」
https://www.netflix.com/jp/title/80988793
や
「ハイ・ライフ」
https://www.netflix.com/jp/title/80117694
は大手メディアじゃ紹介できないもんな。
と、ピエール瀧の件でのクスリに対する日本社会の厳しさを見て思いました。
それをさて置いても日本人が好きなスターが実名、本人役で沢山出ている。
シリーズ通して大活躍のマーゴ・マーチンデールはディズニー映画のセクレタリアトに出ている縁かな。
ダニエル・ラドクリフはそろそろ落ち着いて役を選べと言いたい。
「フイルバート」の脚本監督役の人はオスカー取っちゃったし。
まだ早い時期、シーズン2の頭でポール・マッカートニーが本当にしょうもない役で出てきたのはビビった。
その後に、実は生きていたサリンジャーが低俗なTVショウを取り仕切るってネタの流れには日本人には分かりかねる何かがあるのでは無いかと思いました。
細かいネタをチェックするため基本字幕で見てたんですが、字幕と吹き替えでは明らかに吹き替えの方が翻訳の質が高い。シーズン4では字幕だとキャロラインがらみでわけがが分からなくなる部分があり誤訳と言って良いかも。ただどちらでもカットされてるネタもあり痛し痒し。すぐに切り替えられるのがNetflixのいいところですが。
英語のWikipediaざっと眺めただけですが、原作・制作のラファエル・ボブ=ワクスバーグはユダヤ人でADHDだとか。アメリカ社会に対する冷めた目線はいかにもユダヤ人だし過剰なネタの詰め込みはADHDぽい。しかし、1984年生まれでシーズン1の時30行くか行かない歳って、天才と言うしかない。
この先映画で活躍したら知名度も上がるのかな。まだ若いので期待です。
アニー賞に毎年ノミネートされていて、今年ようやく取ったのに「未来のミライ」や「スパイダーマン: スパイダーバース」と比べたら全くと言っていいほど話題になっていないのは本当に解せない。
一応円盤の発売も予定されているらしいので是非日本語吹き替え、せめて字幕を入れて出して欲しい。さもなきゃ日本でローカライズ盤が安く出るくらい人気出て欲しい。ネット配信のみは安心できないのでが買う。
Netflix公式
https://www.netflix.com/jp/title/70300800
2014年から続く作品なんで実に今更なんですが。
いや参った。ふとしたきっかけで見始めて数週間で全5シーズン見てしまった。早く次のシーズンが見たい。
原作・制作のラファエル・ボブ=ワクスバーグは天才。この作品も人物もろくに認知されておらずWikipediaの項目すら立っていない日本の状況はクソ。
以上、言いたいことは言ったのでこのブログを閉じとっとと見て欲しい。
それじゃなんなので感想とか書きます。
きっかけっていうのはたまたま観た映画「パペット大騒査線 追憶の紫影(パープル・シャドー)』
http://puppet-movie.jp
のパンフで好意的に紹介されていたので。
Netflix加入中はいいけど、話題作を2、3見た後はずっとモンティ・パイソン見てたので(DVD持っているのに)、ちょうどア今どきのメリカンコメディシリーズも見たいなと思っていたのだった。
「パペット大騒査線」はクソ映画なんですけど、ジム・ヘンソンの息子が多分狙って作ったクソ映画。同じパペットもの「ミート・ザ・フィーブルズ」と違って人間とパペットが共存している世界を描いているので、グリーンシートかぶった人間が数人がかりでパペットを操作しつつ、後からCGで消すという恐ろしく手間のかかった作り方をしています(EDで撮影風景が流れる)。
ボージャック・ホースマンの世界も同じように特に説明もなく人間と擬人化された動物が共存しています。
昨年のマンガ賞を総ナメにした週刊チャンピオンの「BEASTARS」は擬人化動物だけの世界。
杉井版「銀河鉄道の夜」に近い。
人間ちょっとしか出てこないけど。
直接喋らないがスヌーピーも近いかも。
SNOOPY COMIC ALL COLOR 50's-90's 文庫5冊セット (角川文庫)
- 作者: チャールズ・M・シュルツ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/12/27
- メディア: 文庫
とにかく擬人化した動物でしか描けない人間のあり方というのがある、というのはこれらの作品からもわかると思います。
「BEASTARS」ではウマのヤフヤさんが最上級の獣、ビースターとして登場しますが、今作のボージャックさんは対極のようなクズ。
90年代に流行ったテレビのシットコムの主演として一世を風靡をしたのだが、50歳になった今はほぼ何もしていない。ハリウッドの丘の上、プール付きの豪邸に住んでいるが家族はなく今の同居人は居候の若者トッド。
潰れかけの出版社が芸能人の知名度で一発逆転を当て込んで自伝の執筆を依頼しているが全く書けない。そもそも幼少期には碌な記憶がなくそれは一応成功して豪邸に住む今も克服できない。すぐに酒と女とドラッグに逃げてしまう。
業を煮やした出版社は若い女性のゴーストライターをあてがい、どうにかこうにか本は完成、赤裸々な内容は好評を博し、子供の頃のヒーローだった競走馬、セクレタリアトの伝記映画の主演を射止める。ここまでシーズン1
映画セクレタリアトの撮影は混迷を極め、ボージャックは何度も現場から逃げる。挙句に数ヶ月旧友の元に身を寄せアクシデントを引き起こして帰ってくるが、不在中に映画は完成していた。ここまでシーズン2。
完成した映画は好評。ボージャックは主演男優としてアカデミー賞まで狙えるかもということであの手この手で奮闘するが…。ここまでシーズン3。
ボージャックの元にボージャックの娘かもしれないという17歳の女の子が訪れる。身に覚えがありすぎるボージャックは一緒に母親を探し自分の過去にも向き合う。旧知のエージェントの頼みでネット配信ドラマ「フィルバート」の主役になる。ここまでシーズン4。
不満ながらも「フィルバート」の撮影をこなすボージャック。作品はまたも好評でシーズン2の撮影が始まる。しかしボージャックは自分の過去に苛まれスタントでのケガの鎮痛剤と言いながらクスリにますます依存。一方、トッドが無性愛者の友人のために作ったセックすロボットが「フィルバート」を配信している「今何時ドットコム」のCEOにまで登りつめとんでもないことに。ここまでシーズン5。
これはあくまでボージャックの動きを追ったもので、他のメインキャラクターにも様々なドラマがあります。ライターのダイアンはベトナム移民。夫のピーナツバターはラブラドール・レトリバーでボージャックと正反対の陽気な芸能人。エージェントでマネージャーで元カノのプリンセス・キャロラインは実に頼もしいキャリアウーマン。そして居候のトッドは不思議な魅力で周囲をかき回す。
セックス、ドラッグ、結婚、妊娠、中絶、流産、養子、移民、セクハラ、仕事、独立、アセクシャル、等々、おそらく今のアメリカで映画の題材になりそうなテーマはほぼ網羅されて突っ込まれています。視聴後にどんよりと沈む話も多いのですが笑いを取るところはしっかり笑わせてそのバランスが素晴らしい。
結局、人間金と名誉があっても幸せとは限らない。じゃあなんだ、家族? 更なる成功? 過去の清算? とにかくもがきながら進むしかないのだ。
アニメーションとしてはいたってシンプル。Flashかなあ? 派手な効果など一切無し。カメラはほとんど動かずズームすら稀。キャラもパーツごとに動くだけだったり。アオリも俯瞰も滅多に無い。表情も数パターンの使い回しのようですが、それでもかえってきつい状況の心情は伝わるもんです。
画面全体にピントの合った背景やモブの書き込みは凄まじく、看板やメモ書きのネタももっと吟味したいところ。
シーズンに1回くらいかなり実験的な回もあります。ほぼサイレントとか、弔辞読むだけとか。あとドラッグでラリラリになる描写はどうしたも笑ってしまうのだが笑ってる場合でもない。
日本で受けてない一因かも知れないけれど、日本のカルチャーの影響はほぼ見当たりません。その代わりテレビドラマを中心としたアメリカのネタはてんこ盛りで、あんまり分からないのでしばし停止してググったりしました。とりあえずマシュー・ペリーと言ったら黒船じゃなく「フレンズ」の役者。覚えた。
現代絵画のパロディもたくさん出てくるのですが、その辺含めこちらの本で解説されてます。
ああ、これあんまり日本じゃ紹介されないのはドラッグネタきついからかも。
「クッキング・ハイ マリファナ料理対決」
https://www.netflix.com/jp/title/80988793
や
「ハイ・ライフ」
https://www.netflix.com/jp/title/80117694
は大手メディアじゃ紹介できないもんな。
と、ピエール瀧の件でのクスリに対する日本社会の厳しさを見て思いました。
それをさて置いても日本人が好きなスターが実名、本人役で沢山出ている。
シリーズ通して大活躍のマーゴ・マーチンデールはディズニー映画のセクレタリアトに出ている縁かな。
ダニエル・ラドクリフはそろそろ落ち着いて役を選べと言いたい。
「フイルバート」の脚本監督役の人はオスカー取っちゃったし。
まだ早い時期、シーズン2の頭でポール・マッカートニーが本当にしょうもない役で出てきたのはビビった。
その後に、実は生きていたサリンジャーが低俗なTVショウを取り仕切るってネタの流れには日本人には分かりかねる何かがあるのでは無いかと思いました。
キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)
- 作者: J.D. サリンジャー
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2006/04/01
- メディア: 新書
細かいネタをチェックするため基本字幕で見てたんですが、字幕と吹き替えでは明らかに吹き替えの方が翻訳の質が高い。シーズン4では字幕だとキャロラインがらみでわけがが分からなくなる部分があり誤訳と言って良いかも。ただどちらでもカットされてるネタもあり痛し痒し。すぐに切り替えられるのがNetflixのいいところですが。
英語のWikipediaざっと眺めただけですが、原作・制作のラファエル・ボブ=ワクスバーグはユダヤ人でADHDだとか。アメリカ社会に対する冷めた目線はいかにもユダヤ人だし過剰なネタの詰め込みはADHDぽい。しかし、1984年生まれでシーズン1の時30行くか行かない歳って、天才と言うしかない。
この先映画で活躍したら知名度も上がるのかな。まだ若いので期待です。
アニー賞に毎年ノミネートされていて、今年ようやく取ったのに「未来のミライ」や「スパイダーマン: スパイダーバース」と比べたら全くと言っていいほど話題になっていないのは本当に解せない。
一応円盤の発売も予定されているらしいので是非日本語吹き替え、せめて字幕を入れて出して欲しい。さもなきゃ日本でローカライズ盤が安く出るくらい人気出て欲しい。ネット配信のみは安心できないのでが買う。
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